aoi iro no tori

だんだん離れてゆくよ アルペジオのように トリルでさようなら 別れを惜しむように ──日常のおはなし──

誕生祝いと感情の鈍さ


 感情が振り切れないのは薬を飲んでいるからなのだろうなぁ。


*フライパンは自分で買います

 誕生祝いには玉子焼きフライパンを買っていただく予定だったのですが壊れました。
 壊れたのは予定と昨年の誕生祝いとして姉にプレゼントしてもらったお茶碗です。
 母が手を滑らせてしまい、粉々に……。
 滅多に謝ったりなんてしない母が「あー! サチごめん〜……」と最後のほうは消え入るように言った瞬間、陶製の飯碗はばらばらになっていた。
 間借りするように客人用のお茶碗を使っていたけど、自分のものではないのと好みの柄ではないのがきまり悪く、「折角なら丈夫な磁器にしよう」「波佐見焼で良いのあるかな」と思って探してみたら白米を小盛りで大盛りに見える(食べすぎない)飯碗を発見して、なし崩すように今年の誕生祝いはそれになりました。
 割れたものと同じお茶碗も売ってはいるのだけど同じだけど同じじゃないし。
 姉には申し訳なかったけれど私は落ち込みきれないどこか冷めているところがあり、母には「形あるものはいつか壊れるからそんなに気に病まないで」と言った。
 同時に十草のそば猪口を使っていて、色形は好みなものの、私は薬味などたくさん入れるのに入る容量が150ccしかなくて毎回溢れさせてしまうためそば猪口も大きめの波佐見焼にした。十草のそば猪口はプリンを蒸したりお酒やアイスコーヒーを飲むのに使うことにする。

 しかしなんなんだろうな。
 姉の買ってくれた飯碗はかなり上等の出来でとても気に入っていたのに割れたことに関して悲しみとか怒りとかそういうものが湧いてこない。
 感情を制御する薬を飲んでいるせいだろうか。それとも生来どこか冷めているのだろうか。
 悲しいというにはあまりに感情が鈍麻している。