蓋を開けるとほぼハコヅメでした。
*5月に読んだ本
私が作家になった理由(わけ)
/阿刀田高
東京新聞で連載されていた「この道」と日本経済新聞にて連載されていた「私の履歴書」を合わせて取捨したものだそうです。
東京新聞をずっと取っていたので「この道」は楽しく拝読していました。
一冊の本にならないかな、ならないかな、と首を長くして待っていたところにこの本の刊行を知って購入しました。
私の好きなくだりも収録されていて嬉しかった。
けど「ナポレオンが生まれなくてもナポレオンのような人は生まれてアメリカは開拓される」というくだりは「海の挽歌」に登場するようですが、もう少し小規模だけど「こんな話を聞いた」という短編集の「フランス窓」という話にも出てきます。
世の中には大きな流れと支流があるけれども世の大きな流れは変わらないし、それは個人であっても同じこと、みたいな物語に感動したことを思い出します。
海の挽歌も読んでみたくなりました。
強父論
/阿川佐和子
文庫版が出る前に単行本版の電子書籍を購入して読んでましたが文庫版が出ていたのを知って購入。何年か前のNHKの番組「ファミリーヒストリー」と合わせて読んだり見たりして感慨深かった。
阿川佐和子さんが「志賀家の奥様ごっこ」をされた話が好きです。阿川弘之先生の世代だと志賀直哉先生は伝説ではなく実在する文士なんだなあと読んでいて思います。
強父論に登場するエピソードだとドライマティーニとキュウリのサンドウィッチの話が好きです。美味しそうだけど用意するのは大変。ため息一つついてはいけない。
阿川弘之先生があんなにも暴君なのに一人では寝られないからと言って心で密かに「暴君一人でネロ」と名付けるネーミングセンスもすごい。
久しぶりに「空耳アワワ」と「無意識過剰」を読みたくなりました。
「無意識過剰」は刊行当時に電車の中吊り広告で知ったんですけど凄いタイトルだと思った記憶があります。
ハコヅメ─交番女子の逆襲─(1巻から20巻と別章アンボックス)
/泰三子
1巻から6巻くらいまでが初期の漫画っぽい絵と線のイメージ。同期の桜編収録の10巻から12巻までは輪郭線が太かったように思いました。7巻から9巻はその中間で読みやすかったです。13巻から15巻は線のバランスが一番好みでした。奥岡島事件の恩賞前後でまた輪郭線が太くなりました。長編は輪郭線を太くするのでしょうか。伊賀崎警部補の胸襟が終わったあとも輪郭線が細めになり、あなたとサヨナラする前にでまた輪郭線が太くなった気がします。
という輪郭線の話はこのくらいにして、いつも本編ばかりに触れているしこれからも書き続ける気がするので今まで触れていなかったアンボックスの感想をちょびっと。
救いのない話でした。泣く話泣く話とネットで言われていて、そう言われると涙が引っ込む天の邪鬼気質の私ですが畳み掛けるような横井教官とカナのシーンは見事に泣かされてしまいました。悲しすぎて実はもう一度読むのが怖いです。
ハコヅメ自体の感想というと最初のほうに出てきたシャブの売人からコモリ、前村孝三、虎松譲二、土屋忠司まで話がずっと続いていたことが分かったとき「この作者変態だ!」と思いましたし心酔もしました。
とても大きな流れがあり、そのなかに長編シリーズがあり、細かい短編があり、全てではないけど実はどれも一本の流れなんだよ、と時々チラ見せする力量がすごい。これからも推していきます。
「ハコヅメ」仕事論 女性警察官が週間連載マンガ家になって成功した理由
/泰三子・山中浩之
ビジネス書ですが、どちらかというとハコヅメの副読本と言ったほうが近い気がする。
警察の人ってそんな人なんだ、とか上司の人褒めるの上手すぎない!? というのが前半の感想です。
泰三子先生自身も巡査部長で後輩を指導する立場にあっただけあり、あとがきでは「いやあそれほどでも」と鼻の下をこすりたくなる褒め上手具合でした。
後半のハコヅメに於ける各々の課長とそのあり方も興味深かったです。秀山課長のように若くして警部になってしまうと大変なんですね。
休載後になってしまうかもしれないけど藤部長にかかっていると思しき「スカーレット・オハラの呪い」も解けることを信じたいです。解いてくれるのは私的には麻依のような気もするし、山田のような気もする(警察犬ヤマ公の回を読むと)。
休載はまだですが早く再開してください!!読めないの厳しいです。
タマロワ ─100%金目当て資産35億のイケメンを巡る訳アリ女達の玉の輿バトルロワイヤル─
(全7巻)
/作画:まりお 原作:山口ミコト
漫画アプリマガポケで一話無料だったので読んでみたら面白かったので全巻読んでしまいました。
主人公は3億の借金がある女性。テレビ番組タマロワに参加しようとエントリーしたら不正視聴がばれてお金持ちの好事家向けの「裏タマロワ」にエントリーすることになってしまう。
しかも6人いる参加者のうち3人は暴力犯、詐欺常習者、そして夫に保険金をかける殺人犯。
主人公は無事に玉の輿できるのか?
と言ったあらすじなのですがミステリ調のストーリーで、ある程度読み手にも推理できる部分はあるものの、主人公しか知り得ない情報もあったりして後半の推理は難しかったです。
誰が真の殺人犯なのか!? という、推理が交錯するシーンは息を呑むものがありました。
原作の山口ミコト先生のほかの作品「トモダチゲーム」も面白そうなので読んでみたいと思っています。
以上、5月に新しく読んだ本は18冊でしたがハコヅメの再読回数が多かったので再読も含めると記録上では45冊となっています。ハコヅメ読みすぎですね。
今月は5月に購入したもののハコヅメに嵌りすぎて読めなかった悪役令嬢転生おじさん、逃げ上手の若君、Thisコミュニケーション、神食の料理人、憂国のモリアーティ、エリスの聖杯、ざんげ飯辺りを読みたいです。
小説や随筆では小野不由美先生の「営繕かるかや怪異譚 その弐」、「東亰異聞」、「黒祠の島」、阿川佐和子さんの「空耳アワワ」「無意識過剰」、阿刀田高先生の「海の挽歌」「影まつり」が読めたら私としては上々です。
それではまた来月お会いしましょう。