aoi iro no tori

だんだん離れてゆくよ アルペジオのように トリルでさようなら 別れを惜しむように ──日常のおはなし──

どちらも家に置いてあります



 エスパー魔美は表紙がなくなったりしてあとで買い揃えたけどあいらぶナナちゃんは当時のままです。こちらもカバーなどはないのだけど。物持ちがいいかもしれない。


*漫画おたく

 私の記憶する一番古い漫画の価格は390円だった。その話を姉にしたら姉は350円だったという。その時点では私の記憶は間違えたままで、270円の時代もあったはず、と豪語した。
「結構自信があったのに……ドヤったのに」という姉に対し、まさしく私もドヤっていた。
「確かエスパー魔美が270円だったよ」と言う適当な話を姉にしたのだった。
 祖父母が暮らしていた仙台にはエンドーチェーンという、大型というには小さいし決して小規模ではない中途半端な広さのスーパーマーケットがあり、そこには本屋さんも併設していて、母が「なにか一冊買ってあげる」と言うと姉と私は一時間くらいかけて好きな一冊を探すのだった。
 そのエンドーチェーンで、姉が初めて買ってもらった漫画の「あいらぶナナちゃん」が350円だったという。物心がついたばかりの頃に買ってもらった本で「当時は内容は全然わからなくて後になって読んでから続きが気になった」というエラいはっきりした記憶。
 それに対して私の「エスパー魔美が270円」はシンプルだけれど記憶にストーリーがない。確かだいぶ後になって揃えたエスパー魔美があった、と思って確認したところ版が新しいからか元からなのかはもう定かではないが360円だった。
「エスパー魔美の1巻、360円だったよ」と告げると「私のほうが10円安かったか」と姉も私もすっきりした気持ちになった。

 一方で私の一番記憶に残っている漫画の値段は新書判コミックスが390円の時代だ。それでも私には高くて「一冊10円になればいいのに」という超絶失礼なことを考えていたが今も本は高価なものなので本質的なものは変わらないのかもしれない。
 消費税が5%になるとそれらの本は410円くらいになったと思う。390円のほうが安くてよかったはずなのに計算のしやすさで410円の時代も良かった。B6サイズコミックスは500円から600円くらいだった。A5サイズが900円くらいだったように記憶している(間違えていたらごめんなさい)。
 そして時は経ち消費税8%。ここから消費税10%はスライドするように値段がするりと変わったし8%のときは新書判コミックスをあまり買っていなかったため値段の推移に明るくない。
 10%になり、新書判コミックスを再びよく買うようになって驚いたのは値段すらも多様性の時代であることだった。
 昔は十把一絡げに390円や410円だったものが同じサイズだけれど作家さんのキャリアや表紙の紙やインクの多様化、カラーページなどが増加したこともあって同じサイズだけど、同じ出版社だけど価格が違う、ということに驚いた。昔はカラーページのある漫画は記憶している限り少数だった。
 いま考えたら概ね同じ価格帯に抑えてあったのはすごいのだけれどそれだけ作家さんの要望を反映していなかったのだろうし、キャリアなども反映されていなかったのかもしれない。
 作家さんを大事にする時代になって良かったと思う反面、発売リストを見るまでいくらなのか予測が立てられないため、毎日ではないにしろ隔日おきくらいに漫画の新刊案内リストや文庫新刊案内リストを目を皿のようにして探し、毎月計算して買っている。
 410円の時代に本屋さんの新刊案内カレンダーを見ながらどれを買おうか決めていた頃とさほど変わっていないという。
 漫画おたく少女が漫画おたくおばさんにクラスチェンジしただけだった。


※1 地震が起きる寸前に書き上げていたものなので平和ボケ的間抜け感があってすみません。悲しいことにそういう文章のストックばかりあるのでしばらく間抜け状態が続きます。

※2 千葉県もかなり揺れましたがうちの家族は大丈夫です。被災地域の皆様もそうでない方も大きな地震・余震などに備えて過ごしましょうね。





追記:2022/03/18

正)あいらぶナナちゃん
誤)アイラブナナちゃん
 を修正いたしました。

 そして今私史上初の漫画価格はハンサムな彼女(作・吉住渉)で370円だった事実を唐突に思い出しました……それはどうやっても今ある文章にねじ込めなかったのでここに記しておきます。