aoi iro no tori

だんだん離れてゆくよ アルペジオのように トリルでさようなら 別れを惜しむように ──日常のおはなし──

本棚とスペースと私


 本棚以外にも本を収納する場所はあるのですがどこもかしこも満員御礼状態です。


*計算ができないと足し算ばかりするよね

 部屋が、主観的でも「汚いな」と思ったので整理していた。
 それと本棚の棚の配分を恐らく初めて変えた。
 私の本棚はスライド式になっており、奥のほうの配分は何度か変えたことがあったけれど前列の棚の配分を変えるのは初めてだな、とやっていて気がついた。

 その本棚に四つ角に等間隔で穴が空いていて、好きな高さの穴に金具を挿して底板を置くと棚が一段出来上がる仕組みになっている。

 まずA4の本を片付けたくて新書サイズコミックスが四段入る棚の間隔のところを、コミックスを二段、文庫を一段、A4の本を一段、という具合にしよう、と思った。

 最初に棚の板を外し、指で金具を外そうとして「そうだ、前はそれで爪の大怪我をしたんだった」と思い出し、ハサミできりきりやっていたけど埒が明かないので父のお古のラジオペンチを持ってきた。けれどこれもどうにも駄目で「この金具を入れたのは恐らく父だ、というか父以外にこんなきっちりした仕事をする人はいない」と久しぶりに父の気配を感じた。
 あまりにもきっちりと金具が嵌っているため本棚を壊す覚悟でラジオペンチをギリギリと回すと、何十分かの格闘の末金具四つを外して一段分のスペースを上にすることに成功した。喜び勇んでA4サイズの本をいくつかそこに収めた。
 そしてコミックスはとなりのスライド棚に入れようとした。しかしどうにも収まりが悪い。というか数が合わない。おまけにまた大量のA4サイズの別のシリーズを発見してしまった。
 こうなってくると文庫サイズは問題ではなく、A4サイズの棚×2に中途半端サイズ1、新書サイズ1、となりのスライド棚に新書サイズ×4、という寸法だった。
 なぜ最初に気が付かないのか。計算ができないからだ。そして中途半端サイズってなによ、と思ったけれどどうしてもそこは中途半端にしかなり様がなかった。
 涙目になりながら横のスライド棚のきっちりと嵌った金具を八本外してA4の本を二段に分けて収め、横の棚の金具をまた同じ間隔に戻した。
 中途半端サイズの棚には文庫も入らないため奥にしまっていたニンテンドーDSのソフトを収納することにした。というかDSのソフトしか入らないやこれ。

 終わってみると私の部屋は本がありすぎだと思ったし、怪我をしないようにと注意したつもりだったけれど結局は指の肉と爪に負担をかけてあいだから血が出ており、その指でデコポンをつまんだら電流が流れたかと思うほどの痛い思いをした。

 少しは片付いたけれどやはり本が飛び出している。
 電子書籍より紙書籍のほうが読みやすくて好きなのだけど物理的に飛び出しているのを見ているとある程度は電子に移行したほうが良いのだろうかと本気で悩む。
 電子は電子でもう既に平気で100冊を超えているので容量などが悩ましい。普段はクラウドに上げておいて読むときだけダウンロードしている。
 先日「型の古いタブレット端末をもう一枚買ったらどうか」と姉に茶化しながら言われたけれども存外外れていない指摘かもしれなかった。
 部屋の容量はこれ以上増やせないがタブレットならある程度は増やせる。仮想メモリならぬ仮想スペースというか、メタバースって身近にはこういうことか!? と、ちょっとだけ自分に近未来を感じつつリアル3D世界では相変わらず片付かない部屋で記事を書くのだった。