aoi iro no tori

だんだん離れてゆくよ アルペジオのように トリルでさようなら 別れを惜しむように ──日常のおはなし──

遅くなってごめんね

あまりにもポエムポエムしいので書くのを躊躇いました。でも記憶が確かならノンフィクションです。

*ある種のポエム

子供の頃の話です。姉は中学生になって次第にゲームに夢中になっていったので私が小学三年生までの頃に起こった出来事だと思います(いつだったかは忘れました)。 姉と年上の幼馴染二人の、合計三人の後ろを追いかける小さな子供でした。どんなに嫌われて、厭われても付いていきました。今思うと傷つくだけなんだから辞めたらいいのに、と言うと思いますけどね。金魚のフンみたいについてこないでよ、と言われてもついていっていました。意地だなあ。 ある年の夏休みに、まだ地元の土地が開発途中で家がぼこぼこ建ち始めて、あちらこちらで内見がありました。今の人がピンと来るか分からないんですが、昔の内見のおまけってジュースとかでした。夏場はね。内見に来た人はアイスクリームが入っているみたいなケースから選んで飲んでいいよーっていうゆるいシステム。 それに姉と幼馴染三人の、今思うと悪ガキっぽいんですが、内見の案内のお兄さんが暑くてへたっているところを狙ってジュースをパクるんですよ。お兄さんは「こらー!!」と追いかける。私は子供すぎてそういう判断がつかなかったのでもらっていっていいものだと思っていたんですが、お兄さんが怒っているところを見るにもらっていってよいものではないと分かり、戻しました。でも諦めきれない感じ。それで姉たちを追おうか迷っていたらお兄さんが「しょうがないな」という感じでしょうか。「いいよ、持っていきな」と言ってくれました。昭和のおおらかな時代だったんでしょうかね。 そのジュースはもう今は廃番になってしまったんですが、時々復刻しているのを見るとそのお兄さんと苦い記憶を思い出します。 あのときのお兄さんがどこかで幸せになっていると嬉しいです。