aoi iro no tori

だんだん離れてゆくよ アルペジオのように トリルでさようなら 別れを惜しむように ──日常のおはなし──

2021年6月に読んだ本

先月もさほど読んだ感はなかったのですが総量は多かったです。自分の感じ方と量にギャップを感じます。

*6月に読んだ本

ひらばの人(1巻) /久世番子 講談監修・神田伯山

少年のアビス(1巻~4巻) /峰浪りょう

青の花 器の森(2巻~3巻) /小玉ユキ

IT(イット)(3巻~4巻) /スティーヴン・キング 翻訳・小尾芙佐

グリーンマイル(全6巻) /スティーヴン・キング 翻訳・白石朗

九龍ジェネリックロマンス(2巻) /眉月じゅん

くいいじ /文章・挿絵:安野モヨコ

舞妓さんちのまかないさん(12巻~14巻) /小山愛子

転生した悪役令嬢は復讐を望まないTHE COMIC(1巻) /原作:あかこ 漫画:磐秋ハル

悪役令嬢は夜告鳥をめざず(1巻) /原作:さと 漫画:小田すずか

白鳥麗子でございます!(全7巻) /鈴木由美子

新・白鳥麗子でございます!(未完・1巻~5巻) /鈴木由美子

ひきだしにテラリウム /九井諒子

アオイホノオ(3巻) /島本和彦

銀の匙(全15巻) /荒川弘

※敬称略・順不同

という感じだったので過去最高(?)の51冊でした。入院中はやることがなくて本ばかり読んでいたというのもありましたね。

・ひらばの人 1巻 主人公が女性講談師の泉花(せんか)とその弟弟子の泉太郎(せんたろう)なんですが、会話のテンポが弾むようで読んでいて小気味好いです。特に最初に収録されている読み切りはいかにも「この物語は火蓋を切ったばかりである」という情熱に満ちた終わり方で、胸に熱くこみ上げてくるものがありました。 講談も聴きたくなりましたし、出版元である講談社との意外な接点も知ることができて「まさしく講談社の本」だなと帯に偽りなしでした。実際にはその部分に訂正線が引いてあり、「講談師の本です」と書き直す、凝っているのにシンプルな帯です。 番子先生の漫画はエッセイ含めて好きなのでこれからの展開にも期待したいと思います。

・少年のアビス 「初恋ゾンビ」以来、久しぶりに読む峰浪りょう先生の漫画です。 登場人物全員が土地にしばりつけられている、というのは空気感こそだいぶ違うけれど映画の「ギルバート・グレイプ」を思い出しました。あの映画の場合は縛り付けているものは自分の家でもありましたが。映画のようになんらかのアクションというか希望があったら良いのですが、この物語にはおよそ希望らしき希望は見出すことができず、なんだったら全員が死にたがっているようにも思える。絶望のなかに0.01%でも希望があるのなら、と思いながら読んでいます。少しばかり厳しいけれども。

・青の花 器の森 2巻、3巻で龍生が良い具合に青子に懐いてきていますね。青子の元彼さんは悪気はない、というか単なる人誑しな気がします。続巻をまだ読んでいないので分からないけれども。作中に出てくる器が美しくて「あ、このお皿いいな」などと思いながら読んでいます。大量生産された器も一人の力では作ることのできない一つの作品である、という描写は素敵でした。

・IT(イット) 終わったー! 自分のなかでという意味でね。 やっと読了することができました。緊張感や面白さで言うと文庫版の3巻がMAXでした。4巻はチュードの儀式にかなりのページ数を割いて描かれているため正直なところ読んでいてダレてしまう場面が多からずありました(だめな読者)。 しかしながら過去と現在(現在と言っても1985年だけど)を行ったり来たりする場面転換の仕方は映画的というか映像作品的な手法で格好良かったです。 あえて文句をつけると単位がフィート、インチ、ポンドだったので一度調べた情報を「フィートは何メートルでインチは何センチで」と頭で計算しながら進んだので自分内テンポが悪かったです。 補完するならば途中途中のシーンでどれも補っているのでドラマ版を観てからリメイク映画を観て、小説を読んで〆にリメイク映画を観る、がおすすめな感じでしょうか。私の感じ方としては小説、ドラマ、映画すべて「みんな違ってみんないい」でした。

・グリーンマイル 全6巻と少し多め(のちに上下巻として出ています)なんですが、少しずつ読めるのでわりとさくさく入ってしまいます。 映画がかなり原作に忠実に作られていましたし、その映画を先に観ていたためか、ストーリーにより没入しやすかったです。ラストだけ原作と映画で少し違っていたような記憶もあります。曖昧ですみません。 グリーンマイルは単位がセンチ、キログラムに変換されていたのですんなり読めたところが大きいです。しかしそのあとに読み始めたシャイニングでまた単位がイットと同じに戻るのでした……統一しておくれ。

・九龍ジェネリックロマンス この作品の2巻といえば香港レモンチキン! ではないのですがそのイメージが強いです。 楊明さんが生まれ変わった記念日に食べたエッグタルトも美味しそうでした。 ストーリーとしては蛇沼さんが苦手でしたが3巻以降にも動きがあるのでしょうか。怖いなあ、と思いつつ好奇心にも抗えず、今月中に5巻まで読もうと思います(フラグ)。

・くいいじ またしても安野モヨコ先生道的裏道にやって来てしまいました。モヨコ先生の文章がとても上手くて読みやすいというのもあります。 「胡桃とくるみのリキュールが美味しそう」と思ったりしました。くるみのリキュールってどんな味なんだろう。 「水茄子のお刺身ってどんなもの?」と思って検索したら本当に素朴な食べ物でした。冬瓜の水晶煮も美味しいですね。私も大好きなんですが父はあまり好きではなかった。姉も。冬瓜自体が淡白だからかな。 ウニ、明太子とイクラの尿酸値がやばくなる(痛風的な意味でも)パスタも美味しそうでした。なんだったら丼でお願いしたい。 春の野山と夕暮れの太陽、冬の夜の冷たい光りなど「確かに食べたいと思っていた!(特に夕暮れどきのトロトロの太陽)」と、首が折れるほど首肯しました。 この本は入院中に読んでいたのですが食欲増進剤として、あるいは病院食より有用だったと思います。退院したらあれ食べたいこれ食べたいがめっちゃ捗りました。

・舞妓さんちのまかないさん 順調に最新巻に近づいていっています。 12巻では、バターケーキの香ばしい匂いが漂ってくるような描写が素敵でした。 つる駒さん姉さんのためにキヨちゃんが作ったレアチーズケーキも夏に食べたくなるお菓子でした。レモン汁がさっぱり感を演出するのにクリームチーズのコクが相まって美味しいんですよね。 レモンアイスコーヒーもスッキリ美味しい。作中では青春の甘酸っぱさを表現したのでしょうか。 13巻で火伏の神様にお詣りに行くエピソードにも登場した小さなおにぎりと故郷・青森の味噌にぎり。おにぎりってソウルフードだなあと読んでいて改めて思います。味噌にぎりは大好きでよく食べます(どうでもいい情報)。 14巻、市のおかあさんが洋服を着たときの姿が麗しい……眩しい。 144話「すーちゃんの場合」のあとがきに描かれていた謎の高級魚ですが、特徴を入れて検索してみたらウマヅラハギという魚のようです。そんな高級魚がいるとは知らなかったよ! 食用菊が登場しましたね。あるところにはあると思いますが、確かに関東ではあまり見かけないですね。宮城の祖母が健在だった頃は菊の花のお浸しがごはんとして登板した記憶があります。 すーちゃんと健太とキヨちゃんと百子さん姉さんの大渋滞中の片想い、どうなってしまうんでしょう。

・転生した悪役令嬢は復讐を望まないTHE COMIC 1巻 前世、公爵令嬢ローズマリー・ユベールとしての記憶が突如蘇った男爵家の娘、マリー・エディグマ。前世の彼女は言うほど悪役令嬢なのか? と思ったけれど世間的に悪役令嬢だった、という認識でいいのかな。 転生前は年下で騎士ごっこをしていたアルベルトが転生後は年上の騎士団長になっていたのが切ない。 リゼル王子は両親を反面教師にしているのだろうけれども滲み出る母親からのDNAのTHE・人誑し感。目覚めたら危険そうです。マリーは気にしていない様子ですが。 ローズマリーが処刑されたときに12歳だった弟・レイナルドは少しブラコン? というか、かなりこじらせていそうな感じがしますね。 一体どうなってしまうのか、2巻以降も気になります。 作中に出てきたオレンジティーのようなものが美味しそうだなあと思いました。

・悪役令嬢は夜告鳥をめざす 1巻 ツンデレ王子ギルベルト殿下はもちろん見目麗しく、コミュ障気味のレスター先生、セドリックさん(くん?)など魅力的な人物が登場してどうなるんだ、これはとワクワクしながら読んでいます。一点だけ、ちょろっと気になったのは言い回しです。作中で繰り広げられる物語は「転生先でも医師になってみせますわ」という小説が舞台、という設定なのに登場人物を「攻略キャラクターの一人」と紹介する文言に違和感を覚えました。原作の原作はゲームなのか? 読み込みが甘くてすみません。 そのほかの部分はとても楽しませていただいたので原作小説と共に読んで行こうと思います。 ・白鳥麗子でございます! 全7巻 以前にも書きましたが、出会いは小学生の頃にいとこのお姉さんの本棚から借りて、でした。何年か前に電子書籍で一括購入していまして、読まないまま積んでいたのを思い出してなんとなく読み始めたら止まらなくなり、ここ最近ずっと読んでいました。 幼心に麗子さんはおバカキャラだとは思っていましたが哲也くんがいて成り立っているアイデンティティーだったんですね。 あの時代だから許されたギャグみたいなものもあって様々なことが多様化した現代では少しキツめに感じる描写もありました。現代の白鳥麗子さんも見てみたいけど「もっと独立心を持って!」と言われてしまいそうな気もします。時代の流れもありますね。それでも哲也くんに全乗っかりするのが麗子さんなのだと思いますが。 昔読んだときはあやめさんが好きではなくてなんだったら「キャラ被りしてるじゃん!」とすら思っていたけど今読むとめちゃくちゃ良い人だった……。京子ちゃんも厳しいけど面倒見が良くて優しい。良いお母さんになりそうな好人物でした。順子ちゃんは一見優しそうだけど女の毒っぽさがあり、少し苦手に感じました。でも実際にいたらこちらも良妻賢母になりそうではある。 子供の頃に読んだときは京子ちゃんとあやめさんの見分けがつかなくて大変でした(それと時々麗子さんも)。今読むとシルエットも髪の色も全然違うのに、不思議な見間違いでした。優しさの方向性だったのかな。 個人的には1巻表紙のおすましお嬢様風の麗子さん(白鳥麗子でございます!の単行本表紙では唯一の金髪)、3巻と4巻の表紙の麗子さんがデザイン込みで好きです。単行本表紙での金髪表現が1巻のみなのは時代的なものでしょうか。きれいで好きなので残念と言えば残念です。

・新・白鳥麗子でございます! 新・白鳥麗子でございます!は全5巻未完というのが本当に遺憾だなと思います。 麗子さんと哲也くんはくっつきそうでくっつかないのが良い派とさっさとくっつけ派が拮抗した結果でしょうか。テレビドラマ化もありましたし。 しかしどの巻を開いても麗子さんは哲也くんと世界一のカップルであろうとして挫折し、やや斜め上のほうに乗り越えるんですけど、哲也くんは毎度振り回されて時々麗子さんに感化もされてギャグキャラにも転じてしまう点が愛おしく、あやめさんと同じくらい同情心を煽られてしまう。飾らない朴訥な格好良さみたいなものは今の少女漫画のヒーロー像にも通ずるものを感じますね。

・ひきだしにテラリウム 再読ですがやはり好きです。 記号を食べる、が印象的です。 体温計にちょうちんのようなものがついた奇妙な器具を鼻のあたりに挿すと自分の言いたいことが正確に伝わる、というのは誤解を解く場合はいいけど悪く伝わってしまうことはないのだろうかとコミュ障としては心配になってしまう。全てプラス方面に伝わるのならこれ以上なく良い器具です。 鼻(のあたり)に挿す、というのが絶妙な位置ですよね。ほかにも奇妙で面白い短編がたくさん収録されていてぜひ、と推したい一冊です。

・アオイホノオ 3巻 東京の出版社に持ち込みに行った焔燃さん。庵野さんの出番はほぼないですがのちに有名になったアニメ会社のえらい人が続々と登場しました。 自分の目の前で上手い絵やストーリーを見慣れている、読み慣れている人に自作を読んでもらう際の所在のなさ、あれが変だった、こうじゃなかったかも、と焦ってしまう気持ちがありありと伝わってきて変な汗をかきました。 そしてあんなにもつまらないと感じていた映画の作品が、観るタイミングで自分の気持ちとシンクロしてこれ以上なく感動するものになる、というのが映画に限らずあるなあと思いました。 アニメーターに転向か、と思わせつつやはり漫画家を目指す熱き男、焔燃のこれからが気になるので4巻も大事に読みます。一ヶ月に1、2冊のペースで読んでいるので温めすぎな気もする。

・銀の匙 12巻~15巻くらいの感想をまとめて 前に読んでいたときには気が付きませんでしたが、八軒のお父さんは伝え方が物凄く下手なだけで慎吾(兄)も勇吾(八軒)のことも心配だと思っていたし、八軒が起業し、プレゼンするようになってからは親子としてというよりは一対一の人間として(でも親心も感じる)ダメ出しをしていたんだなあと今になって分かる年齢になっていました。年月恐ろしや。 13巻で八軒と馬が大変なことになっていました。乗馬もいいなあと思いましたが馬は対人間以上にエンパシーというか、心が通じやすい動物なんですね。知り合いの方の娘さんが長いこと乗馬を趣味にしていらっしゃるのですが、動物としてパートナーとして馬を好きになる気持ちが少しだけ分かったような気がしました。それだけに競走馬がきれいな状態で現役引退できるのは大変なことだと、いま流行りのウマ娘で知りました。あな恐ろしい競馬。 14巻冒頭にさらりと別府くんが作る男風呂ヨーグルト入りチーズナンが美味しそうで絶対に作ると決めています。動物性油脂も少しなら大丈夫になりましたし。 エゾノー祭のばんえいピザも美味しそうでした! インカのめざめという種のじゃが芋、時々スーパーで見かけたので憶えていました。インパクトのある名前ですよね。けど最近は見ない気がする……旬ではないのかな。移動できる簡易石窯を作った大川先輩、やはりすごい。 御影に続き一般枠を受けることになった相川、そして何故か八軒も。結果やいかに……! 最終巻が発売されたのは2020年だったんですね。銀の匙って私見ではリアルタイムで嵌って読んでいた二十代くらいの頃に活動が活発だったというか映画化やアニメ化されていたイメージがあったので意外でした(1巻の初刷りは2011年でした)。 15巻は総まとめの巻でしたね。八軒のお母さんが好きになったというお父さんの笑顔も見納めできて良かったです。 読み終えて完結の方向性に完全に納得できているわけではないですが、道のりがとても楽しめたので良かったのだと思います。 あとチーズナンは絶対に作ります(二度言う)。

*読む冊数が増えると記憶が上書きされてしまうことにやっと気がつきました

お気づきの方も多い(おおい)のではないかと存じますが、ある時まではちゃんと感想を一冊ずつ記録アプリに書いていましたが、月イチの記録をするようになり、前回までは読んだ感想を読書アプリに書くのをサボっていたのです。ですが今月は読んだ本も多かったためか、「あれえ、全く憶えていないぞー??」となって読み返した本が何冊もあり、改めてもう一度読み返したり感想をメモったりしたので今月以降はちゃんとサボらずに一冊ずつ感想を書こうと心に決めました。後悔先に立たずすぎてもっと早くそうしろと自分に言いたい。もう一度楽しめたといえば楽しめたけれども。

*本当は積んでいる小説はもっとある

今読んでいる本は小説だとシャイニング、悪役令嬢は夜告鳥をめざす、辺りです。 漫画はかねてから気になっていた惣領冬実先生のES(エス)を読み始めていて、ガラスの仮面を1巻から再読、スキップ・ビート!も1巻から再読しようかと思っています。何度読んだか忘れるほど読んでいるのですが。 九龍ジェネリックロマンスと少年のアビスの最新巻や、ミステリと言う勿れの最新8巻がもう少しで最新でなくなるので9巻が届いたら二冊一気に読みたい気もしています。 1月からずっと本ばかり読んでいるので織物活動もしたいと思っています。絵もかきたい、というかかかないといけない……(一年の宿題)。胆嚢を取ったので苦しい思いはしてもさすがに痛くはならないと思う。今までは過去の苦しい経験を思い出しながら織ったりかいたりしていて、実際に内臓が痛くなっていたので好きなことをしていたのに本当に始末に負えなかった。 後悔をしない生き方をしよう、と脆く浅はかな決意も新たにしました。いつもそんなことばかり書いているので読んでくださっているかたには目にタコができますね。 新しい月もどうぞよろしくお願いいたします。