aoi iro no tori

だんだん離れてゆくよ アルペジオのように トリルでさようなら 別れを惜しむように ──日常のおはなし──

怖い話を怖がる私が怖くないので


 ……もしかすると当事者だからなのかもしれないけど *怖いはなしではないと思う  心霊的ななにかなのか心の支えとしてのものなのかというのは誰にも分かっていないけど、心霊的ななにかが心の支えになっているのならそれで良いと思う、と先に書いておきます。  父が亡くなる時にひどい家鳴りがした、というのは前に何度も書いたのであえて掘り起こさないでおくとして、そういうことは実はずっと続いている。亡くなる時ほどではないけど、寝るために家族が一人ずつ二階へ上がって行き、私が一階でタブレットを見ながらまごついていると注意するように「ピシピシピシッ」という音がなったり、お風呂の電気もよく明滅する。明滅に関しては意見がばらつくので判然としない。多からず私は風呂好きの父の仕業では、と思う。  そして晩酌の習慣のある人がいなくなって久しいのに、お湯割を飲むためなのか電気ケトルのお湯が沸く音が勝手に鳴る、というのはかなりざらで(あの音は別けて夜に多い気がする)もう家族全員慣れてしまっている。父があまり夢に出てこないのも、もしかしたらまだこの家で生きているつもりなのではないだろうか。あるいは私たちがそう望んでいるのか。  コナンくんでいうところの真実はいつもひとつなのだったらそのたったひとつの真実が知りたいような知りたくないような、夢の浅瀬でまどろんでいるうちに日々が過ぎて行く。