aoi iro no tori

だんだん離れてゆくよ アルペジオのように トリルでさようなら 別れを惜しむように ──日常のおはなし──

サンクコスト効果に見事に嵌った親子


 後にネットでわりと有名な手法と知った。ついっt……じゃないね、エックスのスパムゾンビとかソシャゲーのボットとかいろいろカオスなことになっていますわね。カオスといえばカオスの反対語がコスモスということを最近知りました。秩序ある世界、または宇宙。調和。そんではやっぱり今のネットはカオスだな。


*おもんない物語を読んだときの消化法

 母がタブレットを開いていて、そこには「大型の動物のお腹が異様に膨れていて……」みたいな見出しの広告が。
 妊娠中? なにか大変なことが体内で起きているとか? 変なもの食べたのかも、と想像が膨らむ。
「どうせ広告でしょう」
 と、私が言うと母は
「えーそうなの? でも見ちゃう」
 広告をタップすると大型動物と動物園の飼育員の話が始まった。
 やはりその動物は妊娠中らしい。フームと母と二人で読み進めるのだけど私なぞに言われたくないだろうがその記事、文章のまとめ方が絶望的に下手で反復や急に過去に戻ったり知らない人物が出てきたりしていてとても読みにくい。
 とてもくせのある文章を書く人か、海外の記事をコピペで翻訳したのかな。それくらい読みにくいし、1ページの文章量が少ない。
 だいぶページを繰ったが終わりに辿り着かない。
 ここで読むの辞める? いやでもここまで来たら最後が知りたい。ドワッハッハと笑わせてくれるか泣かせてくれるか分からないけれど。
 大風呂敷をどう畳むのか、と読み進めると、その動物は普通に妊娠していただけだったし、出産して良かったねで概ねおしまい。
 いい話風だったけど記事としては読み応えなくね?
 と一番下の一行を何気なく読む。
この物語はフィクションです。
 その一行を読んだときの私と母の背景は間違いなくベタフラッシュだったし、そのフラッシュの中には「この物語はフィクションです。」の文字を入れて演出上、目は白目だった。
「さーてお風呂入ろ……」
「ご飯の用意しなきゃ……」
 急に我に返り、蜘蛛の子を散らすように各々やることに戻って行った。
 面白くはなかったけど、気持ちの供養記事にはなりましたわよ。
 転んでもただでは起きないほう、かもしれない。