元旦早々お暗いことを書いてしまったのでその反省とお詫びの気持ちでたっぷり書いていこうと思います。
いや本当にすみませんでした。
*12月に読んだ本
往生際の意味を知れ!(1集から4集)
/米代恭
芸人・麒麟の川島さんのアメトーークでの大プッシュとその後マンガ沼での紹介でも気になって読んでみた作品です。
1集から3集はずっと階段を駆け降りるような怒涛の展開で3集で第一部完という感じです。
4集まで読んだ感想でいうと2集が一番駆け抜け感があって面白かった印象でした。4集は復讐とラブコメが混じり合わないまま並走していて少し読みづらかったです。
休載などの関係で2022年夏頃に5集が発売になる予定だそうですが期待を込めてその頃を楽しみにしています。
あげくの果てのカノン(全5巻)
/米代恭
これもマンガ沼で川島さんの紹介と、実際に往生際の意味を知れ!を読んで「この作家さんの過去作も読みたい」と思ったのもあって購入しました。主人公はふわふわした子ですね。だからケーキ屋さんを絡めたのかな。自分があるようでないというか先輩に(正しくは先輩の幻影に)恋をしている、ばっさり言えば夢を見ているみたいな。
初穂さん(奥さん)は先輩と一緒に生きようとしていたし、その上であなたがそんなに心変わりするんじゃ無理だわ、というのも頷ける。けど主人公はずっと夢を見ているのでどこまでもついていくような雰囲気をかもしてしまっている。そして最後のページで……?(絵のないページです)という不穏な終わり方。
変わらない恋をし続けるか変わって行っても相手と向き合って一緒に生きるか、という対比のようにも感じました。
最初いやな感じだった初穂さんが途中でヒロインになってしまうも、初穂さんが可愛くて優しくて旦那さんが大好きな奥さんであるだけ、という事実を読者が知ってしまってつらかったです。
面白かったけれどもメリバ好きにしかおすすめできないです。逆にメリバ好きだったら嵌るのではないかと思います。
ひらばのひと(1巻・2巻)
/久世番子
1巻の内容を忘れかけていたので1巻から通しで読みました。何度読んでも泉花や泉太郎の講談への思いに目頭が熱くなって胸に込み上げるものがあります。泉太郎の飄々としている風でいて内実熱い思いを秘めている、というのも現代っ子っぽくて好きです。
若者ではないのに私も赤穂浪士はあまりぴんときていなかった勢なので勉強します。鉢の木、仙台の鬼夫婦、は組小町、どれも熱くてぐっと来ました。鮫講釈も面白かったです。
番子先生はご高齢の男女を描かれるのが上手いですね。というか長年エッセイ漫画で培った技量というか年齢ごとの人間の描き分けが上手いんですよね。
田原さんの、講談「鉢の木」とかけて電車に乗るのも大変、というのもぐっとくるところでした。鉢の木(元は能・謡曲とのこと)の物語を調べたらシンデレラも真っ青なくらいのシンデレラストーリーでこれは講談を聴いてみたいかも、という思いが強くなりました。は組小町もかなり好きな話でした。講談……好きかもしれない。
ぬばたまは往生しない(1巻)
/久世番子
こちらも番子先生の漫画です。平安時代が舞台で、ぬばたまの髪(美しいお髪)をもつ姫、ぬばたま姫が自分を祓いに来た僧侶の白顕を利用して髪を切り「結婚などせず尼になりたい」というところからストーリーが始まって、それ以降はぬばたま姫と白顕は狂言回しの役に回りつつ……というような物語です。ぬばたま姫の元・婚約者の紅葉宮もちょくちょく出てきます。
ぬばたま姫はいわゆる現代的な女性というか結婚だけが幸せじゃないでしょ、という女の子で白顕は主に振り回され役という感じでしょうか、とても不運な感じがいたします。
その白顕に憧れる女性が登場するんですが、アイドル的に憧れているだけで宗教そのものに信心はあまりない女性もいたりして「当時もこういう人はいたんじゃない? 記録にないだけで」と思ってしまいました。
続きが気になります。少しだけ宗教色がありますが面白いです。
歯医者さん、あタってます!(4巻)
/山崎将
アコヤとアイちゃんは大好きなんですが、登場人物がどんどん増えていって風呂敷を広げ過ぎている感じがしています。そして物語としては遅々として進まず。面白いけど今一つ足りないように思います。もう5巻か6巻くらいのスピード感はあるのにストーリーが進んだ感じがしないのは惜しいです。
Thisコミュニケーション(2巻から4巻)
/六内円栄
1巻を姉に貸していたので2巻から再読&4巻初読み。
デルウハの、やり方はよくないけれど彼なりの方法でハントレスの少女たちをまとめている。
そしてデルウハと、運悪く天啓を受けてしまった者の命運やいかに?
5巻以降も早く読みたいです。書くと全てがネタバレになってしまいそうで危険です。
皮膚を切るような緊張感が堪りません。
メタモルフォーゼの縁側(1巻・2巻)
/鶴谷香央理
夫の三回忌を迎えた年の夏にお気に入りの喫茶店がなくなり、冷を求めて入った本屋さんでそうとは知らずBL漫画に出会った書道教室を営む75歳の市野井雪。本屋さんでバイトをしている女子高生の佐山うらら。うららは人知れず集めているBL漫画の感想を話したいな、どうして学校のみんなってそんなに好きな話で盛り上がれるの? と思いながら過ごしていた。
ある日うららのバイト先の本屋に雪がやってきて、自分も好きな作品を立て続けに買って行く雪と意気投合する。
BLの話をするのって難しいよね、というところで共感してしまいました。おばあちゃんと孫くらい年が離れていると話ができるものなのだろうか。私は雪さんとうららちゃんのちょうどあいだくらいの年なんですけど好きなものの話(特にBLは)は難しいです。
世の中には同担拒否という言葉もありますし、本当に難しい。うららちゃんと雪さんの関係性をご来光のようにありがたい存在として愛でています。雪さんの酸いも甘いも噛み分けたような年齢の人の応援するBLってどんな話かしら……と少し気になったりして。
うららちゃんの将来にもいやます高まる期待。続きが気になります。
一度きりの大泉の話
/萩尾望都
発売時から気になっていたもののなかなか手を出せず、一年経ってようやく読了しました。
木原敏江先生のお言葉はごもっともだと思いました。ただ普通に女が群れて暮らしているだけでも日々に小さな諍いがあるのに才能高き女性が幾人もいたら大変でしょう。
竹宮惠子先生の風と木の詩でBL(当時はまだジュネみたいな言い方だったような)の門戸を叩いた私でございましたが、その前にトーマの心臓も読んでいました。
物語として苦しみはあるけれど、そういえばトーマの心臓ってBLだと思って読んでいたかしら、という記憶が甦ったりしました。BLという面で受け取る自分もいましたが、群像劇っぽさも感じていました。
感情って殊に愛する気持ちは人によって形や色、思いのすべてが違うけれど完全に表現するのは難しいですよね。それが個性でもありますし。
違うものを思い浮かべているのにすべてを伝えきれなくてすれ違ってしまった、というように感じました。増して若い頃のことで、過ぎてしまったとはいえ読んでいて苦くつらいものを感じました。
萩尾望都先生の作品でポーの一族は読んだことがなく、良い機会を与えていただいたので読みたいと思います。
ざんげ飯(1巻・2巻)
/こだまはつみ
美味しそうな料理と艶っぽさの割合があまり合わない漫画……なんですが、出てくる料理は美味しそうなんですよね。
豚肉とキャベツの餃子とホタテと海老の餃子の二種盛りやいわしの燻製、アイスのしろくまっぽいものなど。
ただエロスが若干強めなんです。仲が良いのは良いことですし、なくていいとは言わないけれど話数を進めるごとに大胆になって行くのでエロスは控えめ、ご飯要素多めでお願いしたいところです。
名探偵 耕子は憂鬱(3巻)
/鈴木ジュリエッタ
耕子ちゃんが可愛い。可愛いけれど意志が強くて物理的にも強い。犬上くんに少し弱いところが可愛い。
2月発売予定の4巻も予約しました。展開的には読みが当たりそうな気はするけれどそれをどうまとめるのかが気になります。
鈴木ジュリエッタ先生の作品では一番好きかもしれないです。耕子ちゃんの強さと弱さのバランスが読んでいて丁度良いのです。
という感じで、 12月に読んだ本は28冊ほどでした(カウントのみのもの含)。
体調が優れず、読めない本も多くて悔しかったです。
年始一発目なので抱負も込めて書きますと今年こそ読みたい、と思っている本は漫画ではモウカザメの心臓が気になる神食の料理人、ずっと寝かせっぱなしになっているES、波よ聞いてくれ、SANDA、ドラマも楽しみなミステリと言う勿れの10巻、こちらも寝かせっぱなしのThisコミュニケーションの5巻などなどです。
小説ではこれまた熟成を促している十二国記に挑戦したいです。鬼談百景や新装版のゴースト・ハントシリーズも全て読めていないのでそれも。
レッドドラゴンも読みたいけれど文章が難しいのでまだ熟成しておきます。
そして総決算ということで2021年に読んだ本の数はカウントのみのものも含めて377冊ほどとなりました。
一昨年は記録を始めた年ということも手伝って正確な数は不明ですが、記録上では67冊なので昨年は一日に1冊以上読むことができて良かったね(?)という結果でした。
6月に入院して51冊読んだことも読んだ数にだいぶ貢献していましたね。
それでは改めまして本年も当ブログをよろしくお願いいたします。
※表記は全て敬称略・順不同となっております。